治療方針

はじめに

    おさなごの しだい次第に知恵づきて 仏に遠くなるぞ悲しき

これは作者不詳の古歌です。私たちは学びと経験を重ね成長していきますが、それと引き換えに、曇りなき眼(まなこ)で、ものごとの「ありのまま」を観察することが難しくなっていきます。この古歌は、そういったさまを詠んだものだと私は理解しています。

精神科医としてこれまで学び、訓練し、さまざまな心の困りごとを持つ方々と関わってまいりましたが、これらの経験が自らの眼を曇らせる結果になってしまっては元も子もありません。職業人としての視点、そして、「おさなご」のような偏りのない観察力、どちらも大事にしてまいります。

横たわる背景、身体疾患の存在、すでに服用しているお薬の影響など、さまざまな要因に気を配ります。症状を少し聞いただけで「これは~病」などと安易にレッテルを張るようなことはいたしません。そして、病ばかりにではなく、一対一の人間同士として皆様と対峙することを第一の治療方針とします。


一般外来診療

当クリニックの基本となる診療形式です。多くの場合、この形式で治療を行っていくかたちになります。薬物療法と心理療法を二つの軸として、一般外来診療を行っていきます。精神科・心療内科に求められる当たり前の診療(より精度の高い診断、より安全で、効果が高く、副作用の少ない薬物療法、患者さんと協同して問題解決を目指していく姿勢)を誠実に行っていくことを何より大事にしたいと考えています。

薬物療法について

当クリニックにおいて薬物療法は治療のひとつの軸となります。正しい診断のもと、適切なお薬を選択し、慎重な経過の観察を行えば、薬物療法は安全に行うことができます。処方する薬の種類・用量は必要最低限に留めますし、効果が判然としない薬を漫然と処方し続けることは絶対に致しません。

また、副作用をはじめ、お薬に対するご質問も積極的にしていただければと思います。「新聞でこんな記事を読んだんだけど…」「いったん精神科の薬を飲み始めたら、やめられなくなってしまうのでは?」「精神科に行ったら薬漬けにされてしまうのでは?」「この薬は何のために出ているのか?」といった質問も遠慮なくしてくださればと思います。

薬物療法の研究は日進月歩です。常に最新の研究に目を通した上で、目の前の患者さんにとって最適と思われる処方を提案できるように努めて参ります。

一般外来診療における心理療法について

一般外来診療における心理療法は薬物療法と並び治療の主軸となります。とはいっても、目指すかたちはきわめて当たり前のものです。横たわる背景を踏まえたうえで、ご本人がどういうことで苦痛・苦悩を感じておられるのかを聴き、問題を整理するお手伝いをします。そして、どうしていけばよいかをともに考えていきます。場合によっては、よりよいと考えられる方法・解決策を提案させていただくこともあります。


認知行動療法について

診察・アセスメントの結果、この治療法がご本人の一層の状態改善につながると考えられる場合には、治療のひとつのオプションとして認知行動療法を提案する場合があります。(あくまで提案です。当クリニックにおける診療は、上述の一般外来診療が中心ですし、無理に認知行動療法を勧めるようなことはいたしません。)

話し合いの結果、ご本人が希望された場合には、認知行動療法を施術いたします。費用につきましては、保険診療費に加えて「予約料」が必要となります。くわしくはこちらのページをご覧ください。